最近ニュースで話題になったのが、ラクスルがMBO(経営陣による買収)を実施し、ゴールドマン・サックス系ファンドが1株1710円でTOBを行うというニュースです。「MBOってそもそも何?」「TOBって?」という人も多いと思うので、今回は基本的な概念も含めてわかりやすく整理してみました。
ラクスルがMBO、ゴールドマンが1株1710円でTOB(ロイター) – Yahoo!ニュース [東京 11日 ロイター] – ラクスルは11日、経営陣による買収(MBO)で非上場化すると発表した。米ゴールドマン・サッ news.yahoo.co.jp
ラクスルとはどんな会社?

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ラクスルは、伝統的な産業にデジタル技術を導入して効率化する会社 です。
2009年に設立され、東京を拠点に事業を展開しています。主な事業内容と売上構成をまとめると以下のようになっています。

ChatGPT調べ(※ざっくりの比率です(最新の有価証券報告書に基づく))
ラクスルがMBOとは?

ラクスルの経営陣が外部ファンド(今回はゴールドマン・サックス系ファンド)と組んで、既存の株主から株式を買い取り、会社を非上場化するということを意味します。つまり、MBO前後で株主構成が以下のように変わる見込みです。
ラクスル(2025年7月時点の主要株主)
株主名持株比率日本マスタートラスト信託銀行(信託口)13.71%
松本恭攝(会長)12.63%
日本カストディ銀行(信託口)12.23%
MSIPクライアントセキュリティーズ10.28%
他機関投資家・個人など
MBO後の株主構成(想定)
ゴールドマン系ファンド(RI)最大株主・支配株主(多数派)
経営陣(永見・松本など)主要株主として引き続き関与
その他旧来の株主(機関/個人)TOBで売却するかスクイーズアウトで整理
※最終的な株主比率(%)は TOB実施後に開示される 買付結果報告書(適時開示資料) で正式に発表されます。一般に、公開買付け終了後1〜2週間以内に比率が出るケースが多いです。
※スクイースアウトとは、少数株主が残っている場合に、会社や大株主が強制的にその株式を買い取る仕組み のことです。
ゴールドマンが1株1710円でTOBとは?

「ゴールドマン系ファンドがラクスル株を、通常の株価より高い1710円で株主から買い集めます」という正式な公開オファーになります。これが成立すると、経営陣とファンドで会社の株式の大部分を持つ形になり、上場をやめることができます。まとめると以下のようになります。
- この記事時点でのラクスル株の市場価格は約 1226円
- ゴールドマン系ファンドは 1株1710円 で買い取りを申し出ています
- つまり、市場価格よりも約480円高いプレミアムをつけて株を買うことになります
💡 株主からすると:
- 市場で売るよりも1株あたり約40%高い値段で株を売れるチャンス
- 特に少数株主や個人投資家にとっては魅力的なオファーです
ラクスルはなぜMBOを?

ラクスルは上場企業として活動してきましたが、MBOを選ぶ背景には次のような事情があります。
- 中長期の経営戦略に集中したい
- 上場企業は株主への四半期ごとの業績報告や株価の短期的な評価に縛られやすい
- MBOで非上場化することで、長期的な成長投資や事業再編に集中できる
- 株式市場のプレッシャーから解放される
- 上場企業は株価下落で経営に圧力がかかる
- MBO後は、経営陣が自ら意思決定をコントロールできる
- 資本政策の柔軟性向上
- 上場維持のための流通株比率規制や情報開示義務から解放される
- ストックオプションや社員持株制度など、柔軟な資本政策が取りやすくなる
- スポンサー(ファンド)との協力で資金調達が容易
- ゴールドマン・サックス系のファンドが資金を提供することで、MBOを実現
- 大規模な買収や事業投資も迅速に進めやすい
まとめ

MBOにより、ラクスルは上場の制約から解放され、中長期目線での経営戦略や事業投資に集中できる環境が整います。一方で、ファンドが出資することで経営には一定の影響力が及ぶ可能性もあります。
今回のMBO・TOBにより、ラクスルは非上場化に向けた大きな一歩を踏み出すことになります。



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