「お〜いお茶」でおなじみの伊藤園。かつては試験勉強で毎週伊藤園カフェに通っていたときがありました。
本日は2026年4月期上半期決算発表がありました。
売上は順調に伸びている一方で、利益はやや減少。その背景や今後の展望をわかりやすく整理します。
決算短信・決算説明資料等 | 伊藤園 企業情報サイト決算短信・決算説明資料等 | 伊藤園 企業情報サイトwww.itoen.co.jp
2026年4月期 上半期 決算説明会資料
https://ssl4.eir-parts.net/doc/2593/ir_material_for_fiscal_ym/193089/00.pdf
1. 決算期についての補足
伊藤園の決算期は **毎年4月末を期末とする「4月期」** です。
* 2025年5月〜2026年4月は「2026年4月期」と呼ばれます。
* この記事では、**2025年4月期の通期決算** と **2026年4月期の第1四半期決算(2025年5〜7月)** をまとめています。
> 決算期の年は「期末の年」で表記されるため、過去資料や四半期決算を見る際の目安になります。
2. 2025年4月期(通期)決算概要
売上・利益
売上高:4,727億円(前年同期比 +4.15%)
当期純利益:141.56億円(前年同期比 −9.55%)
減益の背景
* 原材料費・エネルギーコストの上昇
* 国内市場の競争激化・節約志向
* 一部製品の価格改定は実施済みだが、コスト増を完全には吸収できず
3. 2026年4月期 第1四半期(2025年5〜7月)

実績
- 売上高:1,308.7億円(前年同期 +4.7%)
- 営業利益:83.6億円(+17.3%)
- 経常利益:89.2億円(+23.6%)
- 純利益:57.1億円(+28.6%)
- EPS:49.60円
売上はしっかり伸び、利益はそれ以上に伸びており、“収益力が改善している” のが数字からはっきり見えます。
なぜ利益がこんなに伸びたの?
理由はシンプルで、主に2つ。
(1)無糖茶カテゴリーが引き続き強い
「お〜いお茶」を中心に、無糖茶ニーズが高水準。
暑さと健康志向で継続的に売れている流れ。
(2)販管費を抑えたことで利益率が改善
特に広告宣伝費など、コスト全体をうまくコントロールした結果、
利益が前年よりしっかり伸びました。
※注意点
* 通期経常利益予想は **267億円 → 224億円に下方修正**
* コスト高の影響は依然として続く
4.通期の会社予想(据え置き=変更なし)

- 通期売上:4,900億円(+3.7%)
- 営業利益:255億円(+11.0%)
- 純利益:160億円(+13.0%)
- 年間配当:48円(+4円の増配)
第1四半期の進捗率としては、売上で約27%、営業利益で約33%ほど。
「計画に対して順調」と言って良いペースです。
5. セグメント動向
* **主力の無糖茶**:「お〜いお茶」を中心に国内トップシェア
* **健康志向製品**:ラベルレス・大容量商品が好調
* **海外事業**:北米・アジア市場で成長中
5. 中期経営計画(2025〜2029年度)
成長戦略
* 海外展開強化(北米・アジア市場)
* グローバルブランドの強化
* 新規事業(健康・機能性飲料、高付加価値茶葉)
収益改善策
* コスト構造改革(物流効率化・原材料調達最適化)
* 価格改定の定着
* ESG・サステナビリティ対応で長期競争力強化
6. 国内飲料市場のいま
無糖飲料、とくに“お茶系”のシェアが上昇
- 逆に甘い飲料・炭酸は伸びが鈍くなりがち
- 健康志向とともに、
「とりあえず無糖のお茶」
がスタンダードに - ただし市場全体は人口減少もあって成長性は限定的
伊藤園にとっては追い風と逆風が混ざった状態です。
決算資料にはありませんが、国内と海外の競合を比較しました。
8.国内競合
🟦 サントリー
- 茶系(伊右衛門)、水、炭酸まで幅広い
- 総合力が高いが、茶に「特化」しているわけではない
- 守備範囲が広い分、深く攻めにくい部分も
🟧 キリン
- 午後の紅茶や生茶などブランドは強い
- ただ飲料以外にも展開が多く、
“茶専業” ではない - 茶カテゴリーでは伊藤園の専門性にやや劣る
🔴 コカ・コーラ(日本)
- 圧倒的な流通網
- 綾鷹などの茶ブランドあり
- ただ主戦場は炭酸含む総合飲料で、
茶一本では勝負していない
➡ 伊藤園の立ち位置:
「茶に全振りすることで“専門性 × ブランド信頼”を最大化」
🌍 6. 海外競合
🌱 アジア:現地茶ブランド(中国・台湾含む)
- 緑茶文化圏が多く、“お茶慣れした消費者” が多い
- 味の好みが国ごとに違うのでローカライズが必要
- 伊藤園は日本ブランド力で優位に戦える
🚰 欧米:健康飲料・ボトルドウォーター系が強敵
- ペリエ、ジバニ、レモン系ビタミン飲料などが強い
- 甘さ控えめ飲料は増加していて、チャンスも
- “抹茶・緑茶” のヘルシーイメージは伸び代あり
➡ 海外は「日本らしさ × 健康 × 無糖」の組み合わせが伸びる余地大。
競合は強いが市場自体も広い。
💡 7. 最後にまとめると…

伊藤園は「国内は盤石」「海外で伸びしろ」「茶専門の強みを維持」
という、安定×成長のバランスがとれたフェーズにあります。
- 無糖茶の追い風 → ◎
- 海外の伸び → ◎
- 国内市場の成熟 → ▲
- コスト高 → ▲ だがコントロール中
- 国内競合は多いが「茶の専門性」は揺らぎにくい
- 海外競合は多様だが、日本茶のブランド力で勝負できる



コメント