近年、テレビ業界では昭和アニメの復活が相次いでいます。
いっぽうで、大企業を中心に40歳以上を対象にした早期退職制度の導入がニュースとして頻繁に報じられています。
この二つの流れを見ていると、私はある矛盾を強く感じるようになりました。それは、テレビがもっとも頼りたい視聴者層である40歳以上の購買力が、企業の早期退職制度によって削られているという点です。
この違和感を出発点に、本記事では「昭和アニメ復活」と「早期退職ターゲット化」という一見無関係な現象が、どのように矛盾としてつながっているのかを整理してみたいと思います。
1. 若者がテレビから完全に離れた今、昭和アニメが復活する理由
近年、テレビ業界では昭和アニメの復活が相次いでいます。
- 名作アニメのリメイク
- 昔のドラマの再放送
- 懐古系バラエティや健康・旅番組
これらはすべて、テレビの主な視聴者が40歳以上に移ったことが背景にあります。
若者はすでにスマホ、YouTube、サブスクへと移行し、地上波テレビを“日常の中心”とは見なくなりました。
そのためテレビ局は、視聴者として残っている40歳以上に寄せるしかない状況に追い込まれています。
40〜60代はテレビにとって「最後の砦」であり、昭和アニメ復活はその象徴と言えます。
2. 一方で、大企業が削減対象として見ているのは40歳以上
テレビがもっとも頼りたい視聴者層を、企業――特に大企業は真逆の扱いをしています。
- 人件費が高い
- DXに対応できないと判断されやすい
- 組織の若返りを進めたい
- 終身雇用の崩壊
こうした理由から、多くの大企業が 40〜50代をリストラや早期退職の主要対象にし始めています。
つまり、
テレビは40歳以上に頼らないと生きられないのに、
企業はその40歳以上の収入を減らし続けている。
市場全体で見ると、ここには大きな矛盾が生まれています。
3. テレビが依存する層の“購買力”が削られていく
テレビは40歳以上に向けて番組を作り、企業はその40歳以上の給与を削る──。
国も特段の対策を打っていないまま、次のような流れが進んでいます。
- 40代以上の可処分所得が減る
- テレビCMの効果が下がる
- 広告主がテレビから離れる
- テレビ局の収入が減る
- 無難な番組しか作れなくなる
- 昭和アニメや懐古番組に偏る
- 若者がさらに離れる
- 40歳以上の購買力もさらに低下する
このように、**悪循環が途切れない“衰退スパイラル”**が形成されています。
もはや個人の努力では止められない、構造的な問題になっているのです。
4. それでもテレビが“購買力が落ちた40歳以上”を狙う理由
購買力が下がりつつある層をターゲットにするのは、一見すると広告収入の面で不利に思えます。
しかしこれは、テレビ局の分析不足ではなく、むしろ現実的でリスクの低い戦略だと考えられます。
1. 若年層はテレビを見ない
スマホやネット動画の普及によって、20〜30代のテレビ離れは決定的になりました。
その結果、テレビ局が視聴率を確保しやすいのは40歳以上となっています。
テレビにとっては、購買力よりもまず視聴者の安定性が優先されます。
2. 広告主の戦略も後押しする
広告主が狙うのは「今すぐ買う人」だけではありません。
- ブランド認知の定着
- 将来の購買意欲形成
- 健康食品・保険・不動産など中高年向け商材
こうした領域では、40歳以上の安定した視聴者に広告を届ける意義は十分あります。
3. 制作リスクが低い
若者向けの番組は、トレンド追随やCG・企画コストが高く、制作リスクが大きくなりがちです。
一方で、40歳以上向けのニュース・生活情報番組・バラエティは、低コスト・低リスクで制作できます。
視聴者・広告主・制作コストの3点を総合すると、40歳以上をターゲットにするのは、むしろ合理的だと言えます。
5. 結論:弱気だが、最も合理的な戦略
テレビが40歳以上の層をターゲットにし続けるのは、決して判断ミスではありません。
- 若者はテレビを見ない
- 広告主は中高年層にも価値を見出す
- 制作リスクを抑えられる
これらを踏まえると、**購買力が落ちた層に寄せるのは現代のテレビ市場における「弱気だが合理的な戦略」**なのです。
今後も、昭和アニメ復活や懐古番組が増えるのは、単なるノスタルジーではなく、テレビが生き残るための必然と言えるのかもしれません。



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