電通、博報堂、ソフトバンクといった日本の大企業で、子会社や関連会社の統合・整理が進んでいる。
また、資生堂など名門企業で早期退職制度の募集が活発化するなど、長く続いた“大企業の安定”という前提が、いま揺らぎつつある。
これらは決して無関係の出来事ではない――私はそう考えている。
いま日本企業で連鎖的に起きている構造変化には、海外株主の増加と東証によるPBR改善要請という、共通の背景があるのではないか。
以下に、私の見解を整理する。
■ 1. 名門企業で続く「子会社の消滅・整理」という現象
電通、博報堂、ソフトバンクは、多数の子会社を束ねる巨大グループとして成長してきた。
しかし近年、これまで増える一方だった子会社が、むしろ“消えていく”現象が目立っている。
- 電通:グローバル事業の整理、組織再編の加速
- 博報堂:関連会社の統合や事業の集約
- ソフトバンク:事業ポートフォリオの見直し、投資領域の選択と集中
これは表面的には「効率化」「最適化」と表現されるが、私はこれを単なる経営判断の範囲では説明しきれないと感じている。
■ 2. 資生堂を象徴とした「早期退職制度」の急増
資生堂ではここ数年、早期退職制度が大規模に実施されている。
この動きは資生堂に限らず、多くの大企業でも見られる。
その背景には、
- 人件費構造の見直しが必要になっている
- デジタル時代に必要なスキルが変化している
- 中高年層の厚みが組織の硬直を招いている
といった構造問題がある。
つまり企業は、重くなりすぎた身体を“軽くする”段階に入っているのではないか――私はそう見ている。
■ 3. 私の推測①:海外株主の影響が確実に増している
ここ20年ほどで、多くの日本企業の外国人株主比率が上昇した。
そして海外投資家は、経営に次のような価値観を強く求める傾向がある。
- 成長しない事業の切り離し
- 過剰な子会社や間接部門の削減
- 資本効率の向上
- 収益性の高い事業への集中
これは、従来の日本企業の
- 「雇用を守る」
- 「子会社をたくさん抱えて企業集団を維持する」
- 「内部留保を重視する」
といった経営スタイルとは相反する。
私はこの乖離が、子会社整理や組織のスリム化という形で表れているのではないかと考えている。
■ 4. 私の推測②:東証のPBR改善要請が“決定打”になった
2023年以降、東証は明確にPBR1倍割れの解消を企業に求めている。
これは企業にとって予想以上に重いメッセージだ。
PBRが低い → 資産を有効活用できていない
という評価が市場で定着してしまうからだ。
そのため企業は、
- 不採算子会社の整理
- 事業縮小
- 人件費構造の見直し
- 本社・管理部門の再編
といった“手っ取り早く資本効率を改善する手段”をとらざるを得ない。
私は、これが大企業の再編を一斉に加速させた理由だと見ている。
■ 5. いま日本企業が直面しているのは「過渡期の混乱」
子会社が消える。
早期退職が増える。
組織が縮小する。
これらは、いま日本企業が**次の時代の姿へと生まれ変わる過程で起きている“痛み”**だと私は感じている。
長年続いた日本型経営――
「大きいことが安定」「雇用を抱えることが善」「多角化でリスク分散する」
という価値観が、今まさに書き換えられつつある。
企業は「軽く・速く・資本効率が高く・グローバル競争に耐えうる形」へ変わらなければならない。
その過程で起きているのが、今の再編の連鎖だ。
■ 結び:痛みの先に、“正当に評価される時代”が来ることを願っている
私は、この大規模な企業変革が、単なる縮小やリストラで終わってほしくないと考えている。
この転換期を経て、
企業の生産性が高まり、働く人が正当に評価される社会になってほしい。
能力と成果がまっすぐに認められ、
組織の重さではなく、個々の価値が評価される時代。
私は、その未来への一歩として、今の“過渡期の混乱”があるのだと思いたい。



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