昔買った経済学の本を読み返していたところ、「マネタリーベース」「マネーストック」といった専門用語が次々に出てきて、思わず「え、なんだっけ?」となってしまいました。大学時代にマクロ経済学で何度も耳にした言葉ではあるものの、当時は“単語として覚えていただけ”で、正直あまり深く理解できていませんでした。
そこで今回は、ChatGPTの力も借りながら、あらためて「マネタリーベース」と「マネーストック」を整理し、さらにこれらの動きが私たちの生活にどのような影響を与えるのかを、できるだけわかりやすくまとめてみました。
マネタリーベースとマネーストックとは?
それぞれの意味を簡単にまとめてみました。
マネタリーベース(MB)

- お札・硬貨
- 銀行が日銀に預けているお金(=日銀当座預金)
→ 国(日銀)が生み出す「お金のタネ」
マネーストック(MS)

- 私たちが持っている現金
- 銀行の預金(普通・当座・定期など)
→ 社会に出回っている「使われているお金」
簡単に言えば…
- マネタリーベース=日銀のお金
- マネーストック=私たちや企業のお金
となり、それぞれまったく別物になります。
マネタリーベースが増えたり減ったりするとどうなる?

1.マネタリーベースが増えると(お金のタネが増える)
- 物価:上がりやすい(お金が世の中に流れやすくなる)
- 金利:下がりやすい(銀行がお金を貸しやすくなる)
- 雇用:増えやすい(企業が投資・採用をしやすくなる)
- 景気:活発になりやすい
→ 経済を刺激したいときに日銀が増やすことが多いです。
2.マネタリーベースが減ると(お金のタネが減る)
- 物価:下がりやすい(お金が流れにくくなる)
- 金利:上がりやすい(銀行がお金を貸しにくくなる)
- 雇用:減りやすい(企業が投資・採用を控えやすい)
- 景気:弱まりやすい
→ 経済の加熱を抑えたいときに日銀が減らすことがあります。
マネタリーベースを増やしたり、減らしたりするために日銀は何を実施しているのか?

1.マネタリーベースを増やす方法(お金を増やす)
主な手段:国債などの買い入れ(公開市場操作)
- 日銀が市場から国債や社債を買う
- 銀行にお金が入る(銀行の当座預金が増える)
- 銀行は貸出しやすくなり、経済にお金が回る
💡 イメージ:日銀が銀行に「お金をどうぞ」と直接渡す感じ
補助的な手段
- 短期金利の誘導:銀行が貸しやすい金利に調整
- 資金供給オペ:期限付きで銀行に資金を貸し出す
2. マネタリーベースを減らす方法(お金を減らす)
主な手段:国債の売却
- 日銀が保有する国債を市場に売る
- 銀行はその分お金を日銀に戻す必要がある
- 銀行の当座預金が減り、世の中に出回るお金も減る
💡 イメージ:日銀が銀行からお金を回収する感じ
マネーストックが増えたり減ったりするとどうなる?

マネーストックが増えたり減ったりすると、世の中のお金の使われ方や景気に影響します。
1.マネーストックが増えると(社会で使えるお金が増える)
- 消費:みんなが使えるお金が増える → モノやサービスが売れやすい
- 投資・企業活動:企業が借りやすく、設備投資や採用が増えやすい
- 物価:需要が増えるので、上がりやすくなる
- 景気・雇用:活発になりやすく、雇用が増える
💡 イメージ:川に流れる水が増えると、水車(経済活動)が回りやすくなる感じです。
2.マネーストックが減ると(社会で使えるお金が減る)
- 消費:使えるお金が減る → 買い物やサービスの利用が減る
- 投資・企業活動:借りにくくなり、企業は設備投資や採用を控えやすい
- 物価:需要が減るので、上がりにくい・下がりやすい
- 景気・雇用:弱まりやすく、失業率が上がる可能性もある
💡 イメージ:川の水が減ると、水車が回りにくくなる感じです。
企業や人々のどのような行動でマネーストックが増えたり減ったりするのか?

マネーストックは「実際に使われているお金」で、銀行の貸し出しや人々の消費行動で増減します。
1.マネーストックが増えるとき
- 企業や個人が 借入を増やす
→ 借りたお金は消費や投資に使われ、経済に回る - 消費や投資を増やす
→ お金の流れが活発になり、物やサービスが売れやすくなる - 企業が 給与や設備投資を増やす
→ お金が社会に循環し、景気を後押しする
💡 例え:川に水をどんどん流すと水車がよく回るイメージ
2.マネーストックが減るとき
- 企業や個人が 借入を控える/返済を増やす
→ 社会に出回るお金が減る - 消費や投資を控える
→ お金の流れが滞り、景気が弱くなる - 個人が 貯蓄を増やす(使わない)
→ お金が経済で回らなくなる
💡 例え:川の水が減ると水車が回りにくくなるイメージ
では今の日本はどういう状態なのか?

マネタリーベース、マネーストックの意味はなんとなくわかりました!でも今の日本って結局どうなの?といった説明がどこにもないんですよね。今の状態をまとめると以下のようになります。
1.マネタリーベースの動向
- 残高:2025年11月平均で 612兆6,869億円
- 前年比:▲8.5%(2007年以来の大幅減)
- 要因:
- 日銀の「貸出増加支援オペ」終了による反動
- 国債買い入れ減額による流動性供給の縮小
- 内訳:
- 日銀当座預金:▲9.9%(491兆円)
- 紙幣:▲2.5%(116兆円)
- 貨幣:▲1.4%(4.6兆円)
- 解釈:日銀が供給するベースマネーは減少しており、金融政策の「正常化」方向を示唆。
2.マネーストック(M2)の動向
- 残高:2025年11月に 1,277兆円超(過去最高水準)
- 前年比:+1.8%(前月+1.6%から加速)
- 背景:銀行貸出の増加や企業資金需要が堅調。
- 解釈:市中に出回るお金の量は増えており、金融機関から企業・個人への資金供給は拡大傾向。

我々の生活にどのような影響を与えているのか?
「マネーストックが増えている」「マネタリーベースが減っている」という今の日本の状況が、私たちの生活への影響を物価、雇用、住宅ローンの観点で整理してみました。

1. 物価への影響
- マネーストックがゆるやかに増えているため、物価は安定的に上昇
- ただし、急激なインフレは起きにくい
- 私たちの生活コストは徐々に上がる可能性があるが、急な負担増ではない
2. 雇用への影響
- 銀行貸出や企業の資金がある程度回っているため、景気は緩やかに支えられている
- そのため、大幅なリストラや失業の増加リスクは低い
- ただし、企業が内部留保を増やす傾向が続くと、賃金上昇や求人の拡大には限界がある
3. 住宅ローンへの影響
- 日銀の低金利政策が続いており、借り入れコストは抑えられたまま
- マネタリーベース減少の影響で金利が急上昇する可能性は低いが、長期的には金融政策次第で変動あり
- マネーストックが増えていることで、住宅ローン返済に使えるお金は緩やかに確保されやすい
AI的まとめ:今の日本のお金の流れと生活への影響
本では、お金の「元」(マネタリーベース)は少し減っていますが、社会で回るお金(マネーストック)は増えているため、景気や物価、雇用は安定的に支えられ、住宅ローンも比較的安心という状況です。
ニュースだけを見ると不安に感じるかもしれませんが、日本全体の経済状況は極端に悪くはなく、ゆるやかな変化の範囲にあると理解しておくと安心です。



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