先日、小池百合子都知事が東京23区における家庭ゴミ有料化を検討しているというニュースが話題になりました。
関心を持った方も多いのではないでしょうか。
一方で、この報道を見て率直に感じたのは、
「本当に今、検討すべき論点は“有料か無料か”なのだろうか?」
という疑問でした。
街をあるけば、カラスに荒らされた集積所が多く、街の人が掃除を苦慮しているように思えます。
そこで今回は、家庭ゴミ回収のあり方そのものを見直すために、
海外主要都市との比較を通じて家庭ごみ回収のあるべき姿について考えてみたいと思います。
23区家庭ゴミ有料化 都知事の構想 – Yahoo!ニュース東京都の小池都知事は、FNNの単独インタビューに応じ、23区での家庭ゴミ有料化の実施に向けて「区民に行動変容を促していきたnews.yahoo.co.jp
比較する都市
- ロンドン
- ニューヨーク
- ロサンゼルス
- 東京23区
いずれも人口密度が高く、都市運営としての家庭ゴミ回収が重要なテーマとなっている都市です。
ゴミ政策は「金額」より「設計」が重要
ゴミ問題は、つい
- 有料か無料か
- 負担が増えるかどうか
といった点に注目が集まりがちです。
しかし海外を見てみると、
より本質的なのは「どう分別させ、どう出させるか」という制度設計であることが分かります。
ロンドン:分別は厳しいが、袋は自由

ロンドンでは、家庭ゴミの回収は税金ベースで行われています。
住民が直接ゴミ袋を買って負担する仕組みではありません。
分別の考え方はシンプルで、
- 一般ごみ
- リサイクル(紙・プラスチック・金属・ガラス)
- 食品ごみ
という資源重視の分別が基本です。
ゴミは指定の**ボックス(容器)**に入れて出します。
袋の種類は自由で、重要なのは「どの箱に入れるか」です。
ニューヨーク:箱で管理する社会

ニューヨークも家庭ゴミの回収は基本的に無料(税金ベース)です。
分別は、
- Trash(一般ごみ)
- Recycling
- Organics(生ごみ)
の3系統。
特徴的なのは、フタ付きのゴミ箱(ボックス)を使うことが前提になっている点です。
ネズミや害獣対策は、住民のマナーではなく、物理的に防ぐ設計になっています。
ロサンゼルス:有料だが、分かりやすい

ロサンゼルスは少し違い、ゴミ回収は**月額料金制(有料)**です。
その代わり、
- 黒:一般ごみ
- 青:リサイクル
- 緑:生ごみ・庭ごみ
と、色分けされた大型ボックスが各家庭に配布されます。
「迷わない」「間違えにくい」ことを重視した、
視覚的に分かりやすい制度設計が特徴です。
東京23区:袋で管理する社会

一方、東京23区では、
- 可燃ごみ
- 不燃ごみ
- 資源ごみ
という分別が基本です。
ゴミは透明・半透明の袋に入れて、決められた集積所へ出します。
カラス対策はネットをかけ、時間厳守は住民の協力に委ねられています。
つまり日本は、**「袋で管理し、マナーで回す社会」**と言えます。
簡単比較表
今回あげた4都市を簡単に比較表にまとめると以下のようになります。

なぜ日本はボックス化しないのか
海外を見ると、ボックスの方が合理的に見えます。
それでも日本で進まない理由としては、
- 道が狭く、常設ボックスを置くスペースがない
- 誰が管理・清掃するのか決めにくい
- 町内会や近隣の協力に依存してきた歴史
といった構造的な事情があります。
それでも、有料化より先に考えるべきこと

海外と比較して見えてくるのは、
有料化そのものよりも、制度設計の見直し余地の大きさです。
- ボックス化によるカラス・ネズミ被害の減少
- 高齢者や外国人にも分かりやすい仕組み
- マナーに頼らない回収体制
こうした改善は、有料・無料以前の問題とも言えます。
まとめ:問うべきは「有料か」ではなく「どう回すか」

東京23区のゴミ有料化議論は、都民の行動変容を促すという点では一定の合理性があるのかもしれません。
ただし本当に問われるべきなのは、
- ゴミをどう分別させるのか
- どう出させるのか
- 人に頼るのか、仕組みで回すのか
という都市としての設計思想ではないでしょうか。
海外比較を通じて見ると、ゴミ問題は単なるコストの話ではなく、
都市の成熟度や社会のあり方を映す鏡だと感じさせられます。
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